寒い冬が終わり、陽射しに暖かさを感じ始めると、北海道の人々は春の訪れを実感します。
その春の到来を告げる花として、ライラックが愛されています。
芳香に包まれた濃い紫色の花は、北国の春を象徴する存在なのです。
ライラックの歴史
ライラックは明治時代に我が国に渡来し、全国に広まっていきました。
札幌のライラックは、北星学園の創設者サラ・クララ・スミス女史がアメリカからもたらしたものが起源とされています。
昭和35年、札幌市の人口50万人突破と、ポートランド市との姉妹都市提携を記念して、札幌にふさわしい花(スズラン)、木(ライラック)、鳥(カッコウ)が選ばれました。
ライラックの森
札幌の代表的なライラックの名所は、川下公園にあるライラックの森です。
ライラックは、アメリカ・カナダ・ヨーロッパでは主要花木の一つでしたが、日本では品種の導入が遅れまとまった品種のコレクションはありませんでした。
そこで、ライラックを市木とする札幌市は、札幌の冷涼な気候に適したライラックのすばらしさを広く市民や多くの人に楽しんでもらう場所としてライラック園の造成を行いました。
早咲きは5月中旬から咲き始め、遅咲きが終花する7月上旬までの約1ヶ月半の間におおよそ200種類のライラックの花が次々に咲き、公園中にリラの香りを漂わせます。
それぞれのライラックに名盤を立てており、品種名や作出者、国等が一目で分かります。
ライラック祭り
1959年(昭和34年)に文化人の呼びかけで「ライラックまつり」が始まり、毎年5月下旬に川下公園や大通公園などの会場で開催されるようになりました。
札幌に初夏の訪れを告げる市民に定着したおまつりとなり、札幌を代表する春のイベントへと成長しています。
ライラックの花言葉
ライラックには「友情」「思い出」「謙虚」「純潔」という、人間関係の深い絆や心の純粋さを象徴する花言葉があります。
また、「思い出」の花言葉は、過去の美しい瞬間や大切な人への想いを物語っています
北海道の春は短くはかないもの。
だからこそ、期間限定のライラックの芳香に包まれる時間は尚更貴重です。
ライラックまつりを訪れ、ライラックが咲き乱れる様子を堪能してみませんか。
短い春の訪れを、色とりどりのライラックと共に満喫できる札幌は、花の香りと美しさが極まった季節なのです。